サイトへ戻る

 

消化・美肌・免疫・オーラルセックスに欠かせない分泌液とは~Vol.23

消化・美肌・免疫力・オーラルセックス・・欠かせない分泌液とは

                      日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり

 

以前より、性交痛を訴える女性からの日ごろ膣周りのケアのご相談や、セックスの際の痛みの軽減に関するご相談があるのですが、先日、オーラルセックスに関するご相談がありました。

所謂、「フェラチオの際に、口内が乾燥してうまくできない」というものでした。

唾液腺が異常をきたして分泌できなくなる病気もありますが、この方は、嚥下や会話などの際にはさほど支障がないようでしたので、そういった病気というよりは、口内が乾きやすい環境にあるようでした。

確かに、口内乾燥した状態でのオーラルセックスはする側は、される側もあまり良いものではなさそうです。

今回は、意外なところで“無いと困る”を経験する「唾液」について触れたいと思います。

唾液の多様な働きを知って、乾燥しにくい口内環境にお役立て頂ければと思います。

私たちがまず初めに唾液について勉強をするのは小学校の理科の授業でしょう。

食べ物を口に運んだ際に、咀嚼を繰り返しながら唾液が分泌され、唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼによってデンプンが分解されます。

ここまでが授業で習う「唾液」ではないしょうか。

しかし、唾液は、“第一の消化液”だけで終わるような単純なものではありません。

●消化以外に多様な働きをする唾液

・自洗作用

唾液は、口内細菌や食べかすを洗い流します。食事の際はもちろん、食後もその作用は続きます。

 

・口内pH値の安定

唾液には、炭酸・重炭酸・リン酸などが含まれ、口内環境が、酸性またはアルカリ性のどちらかに偏らないように調整してくれています。これらの成分により、虫歯になりにくい環境を保ってくれているのです。

 

・抗菌作用

唾液に含まれる、リゾチーム、ペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどが細菌の繁殖を抑えます。

 

・組織修復作用

「怪我をした際に、傷口に唾をつける」という民間療法は、世界中で昔から生活に深く浸透しています。これは、唾液に上皮成長因子と神経成長因子が含まれるため、傷の治りをよくすると考えられているからです。口内の傷やデキモノは、皮膚の傷より治りが早いと実感されている方は多いのではないでしょうか。

 

・口内の潤い作用

今回ご相談にありました、オーラルセックスや、会話、呼吸で口内は乾燥しやすい環境になります。唾液は1日1リットル以上分泌して口内の潤いを保っています。

乾燥すると、細菌が体内に入りやすくなり感染症のリスクも高くなりますので、口内の水分を平均的に保つことは、免疫に関わる、生活のクオリティに関わる大事なことだというのは頭に入れて降りた方が良いでしょう。

 

・美肌効果で赤ちゃん肌に導く

赤ちゃんが口からたら~~~っとヨダレが溢れている姿はなんとも愛らしいですよね。

実は、赤ちゃんのあのふわふわのもちもち肌もこの唾液が一役かっているのです。

唾液に含まれる成長因子のひとつが、FGFという肌細胞に働きかけます。

このFGFはコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など、美肌効果として知られる成分のの分泌を促す信号になるわけです。燕の唾液も美肌効果として知られているのは納得ですね。口内はもちろん、全身の肌の潤いを保つためにも唾液はとても重要な役割をもっています。

では、唾液分泌を促し、口内環境を最良化していく日ごろのケアについてお話します。

 

●習慣化したい唾液分泌を促す日ごろのケア

・唾液分泌に必要な水分をしっかり補給する

口内には12の唾液腺があり、咀嚼行動は1日平均2000回と言われており、1日平均1.5リットルもの唾液を分泌します。一生で考えると、実に3万リットルもの唾液を分泌しているわけです。唾液の原料となる水分はしっかり摂取する必要があります。

 

・リラックスした環境で唾液腺を刺激

これは私自身も日ごろ習慣化していることの一つですが、朝と夜の歯磨きを入浴しながら、または、シャワーを浴びながらするということです。

ぬるま湯にゆっくり浸かり、リラックスした状態での歯磨きは、唾液腺を刺激すると同時に、分泌が促されやすくなります。すべての汚れを入浴時に済ますと気分もスッキリしますし、ゆっくり時間をかけて丁寧に歯磨きができますのでオススメです。

 

・鼻呼吸を意識して口内を乾燥させない

口呼吸になると当然のことながら口内は乾燥します。

そのためには、鼻の通りも良くしておく必要がありますね。

 

・R-1乳酸菌を摂取して免疫力の強い唾液をつくる

インフルエンザウィルスの抑制に効果を発揮した乳酸菌1073R-1ヨーグルト(R-1ヨーグルト)の摂取により免疫系統lgAが増えることが実証されていますので、意識的に取っていただくと良いでしょう。

(※神奈川歯科大学航空科学講座環境病理理学槻木一恵教授らグループ試験参考)

 

・刺激を減らしてストレスをためない

お酒、たばこ、ストレスなどの外的刺激は唾液分泌の阻害行動になりますので、ハーブティなどでリラックスを心がけてください。ミントティ、カモミールティ、ルイボスティなどのノンカフェインのものが特にオススメです。

 

・砂糖類を控える

これは虫歯の原因になる砂糖を控えることにより、口内環境の良い状態を維持します。

 

たかが唾液、されど唾液、LOQ向上の為に是非、唾液活を取り入れてみてください。