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“ゾーン”に入る~最強の脳のflow術とは 

“ゾーン”に入る~最強の脳のflow術とは

                  日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり

 

「ボクササイズなどの激しい運動、ランニング、ウォーキングなどで、どの運動が一番効果的なのでしょうか」

といったご相談を頂くことがあります。 こたえは、全て効果的です。

しかし、何を目的として「効果的なのか」はそれぞれに違いがあります。

例えば、ダイエットで減量したい場合は、有酸素運動で脂肪を燃やす必要がありますので、ボクササイズやランニングは効率的かつ効果的です。

普段、便秘や不眠症状などの“交感神経優勢型”でお悩みの方は、激しい運ではなく、腹式呼吸を使ったハタヨガで副交感神経を優勢にするものが効果的です。

または、ゴルフで集中力を維持したい、仕事のアイディアや創造力をつけたいという方は、いかに脳をflowさせるかが課題となって来ます。

今回は、この「脳のflow」について触れたいと思います。

 

脳をflowするというのは、いわゆる“ゾーンに入る”ということですが、これは、完全に脳がリラックスした状態になると言えます。

お風呂に入っているとき、シャワーを浴びているとき、ぼーっと海を眺めている時など、いわゆるリラックスしている状態の時に、「何かアイディアが降りてきた」という経験は皆さんもあるのではないでしょうか。

数年前には、マインドフルネスや瞑想もブームになりましたね。日本では、座禅という仏教徒の修行でいわゆる瞑想をして煩悩を削ぐ、心身を0にして”あの世”と繋がるなど、脳のflowに関する歴史は実は大昔からあるのです。もちろん中世などの昔は”脳をflow”などという表現や脳科学的な考えではなく、もっと感覚的なものでしたが、いつでも人々の生活のテーマの一つになっていたことは想像がつきます。

さて、ここで紹介したいのが、私たちの生活に欠かせなくなっているスマートフォンを開発したスティーブ・ジョブズです。

彼は、ベジタリアン、瞑想家など色々と異名をもつひとでも知られていますが、最も注目すべきは、彼の会議のスタイルでした。

「スティーブ・ジョブズとの会議は沢山歩かされる」と言います。

大事な内容であるほど、彼は公園を歩きながら会議を行ったというのは有名な話です。

「歩く」というのは、うつ患者の治療としても最も基本的なものでありますが、太陽を浴びながら公園の植物や土の匂いを感じながら、一定のテンポ(法則)でリズミックな運動になります。私たちのカラダは、心拍や血流などの影響から、実は常にゆれているものです。

そこにあえて「歩く」というリズミックな運動を加えることで、脳がリラックスをしやすい環境をつくります。つまり、外出中、仕事中でも入浴時と同じようなリラックスを得られるわけです。脳がリラックスすると、脳の創造性も高まりますので、スティーブ・ジョブズはこの性質を上手く仕事に取り入れていたことになります。

 

 

「走る」という行為は、有酸素運動により胸式呼吸になり、心拍、血圧も向上していき、エンドロフィンという幸福ホルモンがでるのですが、これは、性行為の際にも出るホルモンと言われています。

これは、歩行の際の脳のパフォーマンスとは少し違ったゾーンの入り方になるわけですが、もともと走るのが好きではない私にとって、フルマラソンに出場する友人知人を見ていると、なんてストイックなのだろう、自分には無理だと感じてならないのですが、彼らにとっは、ゾーンに入った瞬間、幸福ホルモンが分泌し、快楽の中にあるわけです。

フルマラソンに定期的に出場している友人らに「どれくらいの時間でぞゾーンに入るのか、気持ちよくなって楽しくなってくるのか」と尋ねると、平均して「3~8KM地点あたりから」と言います。

思いのほか早い段階から脳が発火し、快楽に転じてくようですが、これは、あくまでも月に平均200~300KM走り込んでいる方で、フルマラソンも3時間半ほどで走り切る方に多い印象でした。日ごろから走り込んでいるおかげで、脳の発火の反応も良くなっている印象です。楽しくなってくると苦しさより快楽や無意識さが優勢に立ってきますので、日ごろのタイムを上回る記録をたたき出すことも可能になって来ます。

 

また、先日、ある有名人気バンドのドラマーのSさんと話をしていた際に、面白いお話を伺ったので紹介したいと思います。

ある歌番組の生放送で、本番直前に急に予定になかったソロを演奏するように振られ“キレた”のだそうです。しかし、その“キレた”のが良かったのか、その後は開き直って今までで一番良いプレイができたのだそう。

また、Sさんは長年海釣りを趣味とされており、大会に出場もしているのですが、その大会本番直前にも、船の故障などたて続き、“キレた”のだそう。

キレた後はスッキリし、今までにない集中力で、なんと大会で優勝を遂げました。

キレてリセット(リラックス)することでゾーンに入りやすい状態をつくったことになります。

 

心理学のストレス指数をみる際も、キレる=エネルギーの放出で発散ととらえるので、“キレる”というのも、脳をflowさせる一つの手段だということが分かりますね。

とはいえ、キレてばかりも疲れてしましますので、秋の季節、是非休日にウォーキングを取り入れてはいかがでしょうか。