サイトへ戻る

男女が“無意識に惹かれる相手”のひみつとは~Vol.15

                            男女が“無意識に惹かれる相手”のひみつとは~Vol.15 

                                                                                         日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり 

 

 日ごろ、エクササイズレッスンやサロンで皆さんのお身体を拝見していると、ほとんどの方が左右の脚の長さに違いがあります。差の大きい方だと3cmも左右の長さが違う方がおります。そのほとんどの方が、ウエストのくびれの位置にも左右に差があることが認められます。更に、左右差があればあるほど、腰痛や背中のこわばり、コリを訴える方が多いのです。 

 エクササイズレッスンにおいては、必ずはじめに左右差を無くすためのストレッチをさせて頂いてから各ポージングや動的ストレッチに入るという流れを汲んでいます。 

 右利きの方はどうしても左側の手や肩に荷物を持ちますし、左脚が軸足となるので、自由に動かせる右足に比べて左脚の方が筋肉の発達と安定感が出ます(左足の片足立ちより右脚の片足立ちが苦手)。この様な生活習慣によって脚の太さにも左右差が出てきます。 

 このような症状には、荷物を片方だけで持たない、毎日左右同じくストレッチする、左脚だけでに重心をのせない様にする・・・・などの生活習慣を少し工夫だけで改善されることでもあります。「左右差」というと「骨の歪み」と勘違いされがちですが、骨と骨を結んでいる筋肉を調整するということになりますので、ご自身でもある程度の左右調整と予防は可能なのです。 

 さて、前置きが長くなりましたが、この「左右差」が実は人間の・・いや、すべての生き物に共通して「無意識の領域に働きかける重大なこと」であるということを認識している方は少ないと思います。 

 2021年3月に発売しました「子宮とくびれを強化する“春画ヨガ”」(飛鳥新社)にも書きましたが、「なぜ女性たちはみんな“くびれ”にこだわるのか」ということを考えてみてください。なぜこんなにもダイエットコンテンツがありながらも毎年新しいメゾットが誕生してはメディアで話題になる・・永遠のテーマと言われるほどにこだわる必要があるのか。 

 それは、くびれにこだわる様にDNAにプログラムされているからではないでしょうか。 

 海外のある不妊治療クリニックのデータによると、くびれとヒップの差が「0.7:1」が一番妊娠しやすい女性の身体であり、0.1ポイントくびれが無くなるにつれて、受胎率が30%もダウンするというデータが発表されました。 

 ある見方をすれば、“くびれは子宮の評価”になるわけで、“DNA(情報)を紡いでいく”という生き物としての使命がある限り、生殖器を間接的に評価できるものに目が行く、魅力を見出すというのは動物行動学の分野においてはごく自然のこととして理解できますよね。 

 ではカラダの左右差においてはどうなのかを考えてみてください。 

 これまで拝見したお身体で断トツに一番「美しい」と感動したお身体はお相撲さんの「白鵬さん」 というお話を時々させて頂くことがあるのですが、白鵬さんのお身体は完璧なまでのシンメトリーで、無駄なぜい肉もない。更に体幹の強い円柱体型で肌の艶も素晴らしい、一言でいうと、「シンメトリーな完璧な身体」でした。 

 つい先日、総合格闘技の試合も間近で観戦させて頂く機会があり、各選手の身体の特徴、動きの特徴を観察していても、やはり、シンメトリーの身体の作り方をきちんとしている選手は、肌艶が良く、軸がしっかりしていて、動きの瞬発力とフィジカルも強いのです。 

 強い選手はしっかりここを意識して日ごろトレーニングを積んでいるのだと思います。 

 特に男性選手たちなので、胸筋と広背筋が良く見えますし、しっかり上手に身体をつくっている選手には自然と目が行く、つまり、「華がある・雰囲気がある」ということにもつながってくるのだなと改めて実感しました。 

 つまり、「華があって強い選手はシンメトリーで肌艶が良い」のです。更に深堀をすると、これは「生殖能力が優れていて免疫力が強い」という評価になるのです。 

 シンメトリーな身体というのは、手足、つまり四肢を見ると分かりやすいのですが、成長段階で四肢、手の指なども含めて設計しているDNAの司令塔は生殖器を形成するDNAの司令塔と同じ“監督”がつかさどっているのです。 

ですから、女性はよく「手が綺麗な男性が好き」と言いますし、男性は「美脚の女性が好き」という現象が起きてくるわけです。先ほどもお話した通り、間接的に私たちは「生殖器を評価している」のですね。もちろん無意識ですよ(笑)。 

 更に、肌の美しさというのは、バクテリアに侵されていない証拠=免疫力が強い証拠と考えれば、「美肌」がモテるというのも理解できると思います。 

 私たちは日ごろ、「よりよい遺伝子探し」という生物としてプログラムに振り回されているわけですので、この無意識の領域を意識的に生活に活かしていけると物の見方が面白くなるかもしれませんね。