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アーユルヴェーダで見る、「春に多い小学生の自死」

アーユルヴェーダで見る、「春に多い小学生の自死」
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり

2025年度がはじまり、1か月が経とうとしています。
もうすぐ日本はGWへ突入。特に新入生や新卒の方々にとっては、大きな環境の変化による緊張が緩む時期になります。
社会人はバーンアウトを起こしやすく、連休明けの出社が困難になる方も増えます。

この時期に気を付けたいのは、実は大人だけではありません。

特に小学生高学年以降の思春期たちの自死が増えるのが、この時期です。
一見、「思春期」という言葉に惑わされそうですが、大人も精神を患うことを思うと、何も思春期だけが理由ではないことが分かります。
アーユルヴェーダから春の自死についてみていきたいと思います。

春は、アーユルヴェーダでいうKAPHA(カファ)の季節です。

KAPHAは、水と土のエレメントのバランスで保たれると説かれており、水と土のごとく、これから新しく何かを構造構築していくエネルギーになります。
多すぎる水は土を溶かし、少なすぎる水は砂漠化させる。水と土のバランスが保たれると、程よい水は土に栄養を送り、その土は成果物を育てる。母なる大地になるのです。
これは自然界だけではなく、その自然界に存在する私たち人間も当然エネルギーの影響を受けています。

人間も、このKAPHAが出やすい人の特徴というのがあります。
・髪の毛が太くてしっかりしていて毛量が多い。
・肌がもっちりしている美肌。
・歯が大きく並びも綺麗。
・顔のパーツも大きい。
・体型はぽっちゃりしていて骨格もしっかりタイプ。
見るからに安定している印象の方です。

過去のコラムにも書きましたが、こういったKAPHA体質の方は、浮腫みやアレルギーが出やすく、粘膜に症状が出やすい傾向にあります。
水と土を合わせると、粘土ですよね。粘土は人体で言うと、粘膜です。
風邪をひくと喉からきて、咳だけ残る。咳喘息になりやすいなどです。

春はKAPHAエネルギーが高まる季節なので、KAPHA体質の方以外も、KAPHAの症状が出るということが起こります。花粉症は良い例かと思います。

KAPHA体質の方は、春の影響を受けると更にその症状を悪化させるので、風邪や喘息症状も出やすくなります。特に体質コントロールには気を付けたい季節になります。

私たちは、季節だけでなく時間や年齢も3つのエネルギーの作用を受けています。

まず人はこの世に誕生すると、これから生きていくための基礎をつくり始めます。つまり、構造エネルギーが優勢になるKAPHAです。

粘膜は免疫力ですから、大切な時期です。子どもの肌や粘着性のあるヨダレはまさにKAPHAエネルギーを象徴します。
これは、小学生の間まで続きます。
中学生頃になると、成長期に入りますので、今度は変換エネルギーのPITTA(ピッタ:火+水)に差し掛かります。

KAPHAエネルギーが優勢にある子どもたちからすると、春は季節の影響も受けてKAPHAが増悪しやすくなるのです。特に自我が芽生え始める10才を過ぎて、KAPHA体質に向きやすい子どもは、年齢、季節の影響を大きく受けてしまいます。

KAPHAの特徴は、不動の土地のごとく、不動性、安定性です。つまり、環境変化が苦手でため込みやすいという精神特徴があります。執着しやすく、一つの事をいつまでも悩んでしまう。ルーチン生活が安心するタイプです。良くも悪くもハマり症ともいえます。

日本は明治時代に4月が年度の始まりと制定されました。

KAPHA体質の方にとってみれば地獄です。
春の影響で、不動性や精神的なため込みが出やすい中で環境の変化を強いられるわけですから。

特に、自我が芽生えたけれど経験が浅く、自分との向き合い方やトラブルの対処法が未熟な思春期のKAPHA体質の子どもにとっては、春の環境変化はとても過酷なものになります。

ぽっちゃり、おっとりしているKAPHA体質の子どもへは、春にはKAPHAを増悪させる砂糖や小麦を控え、さっぱりした食べ物やスパイスなどを取る、過眠にならないように生活のサイクルを整えるなどの生活の見直しが必要になります。それが自死予防の一歩です。

KAPHA、PITTA、VATA、それぞれが一番安定する季節はいつかというと、秋です。

時々吹く北風により太陽エネルギーはクールダウン。それでも昼間は太陽を浴びられる。湿度もなく程よい風も吹く。それぞれのエネルギーが交わりバランスを取る季節です。

アーユルヴェーダから見ると、ヨーロッパなど海外において9月の秋が年度初めというのはとても理にかなっていて、春になるたびにうらやましく感じたりします。

KAPHA体質という方は、梅雨の時期まではぜひ生活の見直しをしてみてください。

甘いもの、どろっと粘性のあるものは控えて、汗をかく運動、入浴でご自身の体質コントロールをしてください。