アーユルヴェーダ処方~フェムケア保湿オイルの作り方、選び方
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
1月からシリーズでお届けしています、アーユルヴェーダとその処方。
今月は、「フェムケア保湿オイルの作り方、選び方」についてお話ししたいと思います。
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◉1月コラム:アーユルヴェーダ処方とSDGs
◉2月コラム:アーユルヴェーダ処方とアダプトゲンハーブ
◉3月コラム:アーユルヴェーダ処方~フェムケア保湿オイルの作り方、選び方
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フェムケアに関する商品やサービスもここ数年で随分目にするようになりました。
中には、霊感商法などで感染症のリスクのある危険な商品も目に付くこともあり、ひやっとします。
特に、ヨガ解剖学にある、7つのチャクラに"こじつけて"パワーストーンを7つ膣内に入れるというものも以前見かけたことがありました。
「パワーストーン」というといかにも印象がいいですが、身体にとっては異物です。
もし体内で割れた場合、粘膜に傷をつけ感染症を引き起こすと、死亡のリスクがあります。
身体のケアの為に正しい情報を得て、正しくケアをしていきましょう。
さて、今月はフェムケアについてお話ししたいと思います。
アーユルヴェーダに置いて、「アンチエイジング科」と「セクゾロジー科」がこの分野に入ります。
生殖器は「腎」に通じますので、生命力、寿命の要になるわけです。
男性の場合は勃起障害も腎気に関係します。
「腎気」が弱ると身体は衰弱していきます。
腎に通じる生殖器とその周辺のケアは、生命力をサポートするわけです。
アンチエイジング、スローエイジングにも大切なケアということです。
40代半ば以降から多いご相談に、陰部の乾燥と下着の摩擦による痛み、性交痛があります。
プレ更年期に入りますと、アーユルヴェーダでいうVATA(ヴァータ)の年齢に差し掛かります。
VATAとは、「空間を移動する風」に比喩した時期です。
竜巻の如く、乾燥、冷え、萎縮などの身体症状、そして、メンタリティにおいては落ち着きのなさや不安、気分のむら、集中力と記憶力の低下などが露出しやすい年齢です。
プレ更年期以降のシニアはこのVATAの年齢になるわけです。
ですので、物理的に乾燥を防ぐための保湿などのケアは必須です。
肌の乾燥が続きますと、ショーツのゴム擦れによる痛みや湿疹など肌トラブルもでやすくなります。
乾燥は免疫低下の入り口です。
粘膜の乾燥から雑菌や真菌が繁殖しやすくなり、陰部の痒みや痛み、膀胱炎などのリスクも高くなります。
また、膣萎縮も進み、平常時での違和感はもちろん、ブランクを置いて性行為をした場合の潤滑の悪さと乾燥と、皮膚や筋肉の柔軟性低下による痛みが出やすく、出血することも。
特に女性は膀胱炎になりやすいですし、繰り返してしまいますので、免疫管理も必須です。
「セカンドバージン」に備える世代は特に、まずは陰部の保湿をしっかりしていきましょう。
それから、男性においても、陰茎周辺の乾燥や湿疹、ピタっとしたトランクスによる蒸れからの肌トラブルのお悩みを抱えている方は以外と多いです。
男性も女性も使える保湿ケアのひとつとして、私自身も日頃自作して使用しているフェムケアオイルの作り方を紹介します。
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》準備するもの
・ライスオイル100cc
・精油
・ボトル
》添加する精油
雑菌感染予防や臭いケアには以下の精油
・ローズマリー
・ユーカリ
・ラベンダー
のいずれかを2滴添加(ブレンドの場合各1滴)
・女性ホルモンのケア、女性のストレスケアには月桃精油2滴もオススメです。
》市販のボトルに入れてよく振って使ってください。
》使い方
・陰部のケア
お風呂上がりの清潔な身体に、1プッシュ両手に馴染ませ、肛門付近に両手を置いて、肌に密着したら、会陰を中心に、両手を手前にスライドして優しく馴染ませます。
肛門付近の乾燥が気になる方は、会陰の保湿の後に、肛門部の保湿をしてください。
・フェイシャルにも使用可。
洗顔とハンドウォッシュの後、水気を拭き取り、2プッシュを両手に馴染ませ、お顔全体に馴染ませ、ゆっくり温める様にマッサージする。
花粉症による鼻のかみすぎで鼻の中が切れやすいという方にも、鼻の穴の保湿として使えます。爪で傷つけない様に気をつけてください。
また。洗い流しや拭き取りは不必要ですが、気になる場合はティッシュを肌に当てて余ったオイルを吸い取る。
》注意
作ったケアオイルは3ヶ月ほどが使用期限です。高温多湿は避けて保存してください。
酸化した臭いのあるものの使用は避けてください。
》湿疹がある方は、ライスオイルではなく、ココナッツオイルのみを同じ様に使うこともできます。
この20年以上、日本人の方を対象に、様々なオイルや資材を使ってケアさせて頂いておりますが、日本人の柔らかい肌にはライスオイルが1番馴染みが良く、肌を柔らかくしてくれると感じています。
アーユルヴェーダや中医学などの東洋医学の思想の中心に、
「土地のものを使う」
とあります。
風土環境に最適化するように私たち人間はそれぞれの土地で進化してきました。
東洋医学のこの思想はまさに的を得た考えです。
ひとつあると便利なオイルです。
是非試してみてください。