ホワイトセージティーの効能とアーユルヴェーダ的活用法
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
先日、セドナから帰国した友人に、ラピスラズリという美しい深い青色の立派な石をお土産に頂きました。セドナと言えば、ネイティブアメリカンの聖地であり、自然のエネルギーが高い場所としても知られています。そんな聖地からの貴重なパワーストーンを頂いた訳ですが、ラピスラズリについて調べていくと、次のような取扱い説明が記載されていました。
――ホワイトセージで石を清める。
なるほど。
セージもネイティブアメリカンの方々にとって聖なる植物と知られています。
日本人も、不浄を払いたい時にセージの葉を用いると言う方はよく耳にします。
パワーストーンも同じく不浄を払うお守りですが、そのお守りすら浄化するセージとはいかに?
とふと疑問に思いましたので、今月はセージについて深掘りしていきたいと思います。
■ホワイトセージとは
ホワイトセージ(White Sage, Salvia apiana)は、古くからネイティブアメリカンが「神聖なハーブ」として用いてきました。特にスマッジング(燻して煙で浄化する)で知られていますが、乾燥した葉をハーブティーとして飲む方法もあります。
その独特の香りは強烈ながら、心身を浄化し、精神のバランスを取り戻す力を持つと考えられています。
アーユルヴェーダの視点で見ると、ホワイトセージは「ピッタ・ヴァ―タ・カパ」それぞれの体質に働きかける稀有なハーブです。火の余計な熱を冷まし、土の停滞を動かし、風の不安定さを鎮める。そのため、どの体質にも対応できる「万能型」と言えるでしょう。
■ホワイトセージティーの主な効能
・消化促進・整腸作用・・ 胃もたれやガスを軽減し、食後の重さを和らげます。
・精神安定・リラックス・・神経を鎮め、不安や緊張を解消し、瞑想や睡眠の助けに。
・抗菌・抗炎症作用・・ のどの炎症、風邪の初期、口臭予防などにも利用されてきました。 ・デトックス・利尿作用・・むくみや体の重さを軽減し、老廃物排出を助けます。
・ホルモン調整作用・・女性ホルモンに似た働きを持つ成分が含まれ、更年期や月経不順のサポートに。
■主な成分と作用
・モノテルペン類(α-ツヨン、カンファー、シネオールなど)・・強い香りの元で、抗菌作用と精神の鎮静効果。呼吸を楽にし、自律神経を整える。
・ジテルペン類(カルノシン酸、カルノソールなど)・・強力な抗酸化作用を持ち、炎症や細胞ストレスを軽減。
・フラボノイド・・ 神経や血管を保護し、リラックスを促す。
これらの成分が相乗的に作用し、安眠・精神安定・浄化作用が得られるのです。
《体質別の処方》
◇火照り、イライラの“ピッタ”体質が増悪
・イライラや胃酸過多が強いときに。
・葉は1枚だけ、ごく短時間抽出。ペパーミントとのブレンドが有効。
◇浮腫み、倦怠感の“カパ”体質が増悪
・むくみや停滞感があるときに。
・葉は2枚、濃いめに淹れて朝の一杯に。ジンジャーやレモングラスを加えると代謝アップ。
◇神経活動が盛んな“ヴァータ”体質が増悪
・不安や不眠、冷えのときに。
・葉1枚をじっくり煮出し、ぬるめで飲む。カモミールとのブレンドが神経を鎮める。
■症状別アレンジレシピ
・ストレスで眠れない時 → ホワイトセージ+カモミール
・食べ過ぎ・胃もたれ → ホワイトセージ+ペパーミント+レモングラス
・むくみ・重だるさ → ホワイトセージ+ジンジャー+ローズマリー
・月経前や更年期の不調 → ホワイトセージ単独、または+ラズベリーリーフ
・風邪のひきはじめ → 濃いめのホワイトセージにハチミツを加えて
■婦人科系への働き
ホワイトセージは「フィトエストロゲン様作用(植物性エストロゲン)」を持ちます。
・月経不順の調整
・PMSによる気分変動の緩和
・更年期のホットフラッシュ、不眠の軽減
アーユルヴェーダ的には「ピッタの年齢」でホルモンバランスが乱れやすい女性に適しており、精神と肉体の揺らぎを支えるサポートハーブです。
■飲み合わせの注意(薬との相互作用)
ホワイトセージは成分が強いため、以下の薬との併用には注意が必要です。
・抗てんかん薬・中枢神経系の薬→ ツヨンが神経を刺激し、発作や作用の乱れを招く可能性。
・降圧薬(血圧を下げる薬)→ セージの降圧作用が重なり、低血圧を起こすリスク。
・抗糖尿病薬(インスリン・経口血糖降下薬)→ 血糖を下げすぎる可能性。
・抗凝固薬・抗血小板薬(ワルファリン、アスピリンなど)→ 出血リスク増加の恐れ。
・ホルモン治療薬(ピル・ホルモン補充療法)→ フィトエストロゲン作用が干渉する可能性。
※妊娠中・授乳中も禁忌。子宮収縮作用があるため注意。
■さいごに
ホワイトセージティーは、火・土・風すべてに調和をもたらす万能のハーブです。
まさに“いかなる不浄も払う“にふさわしいと言えます。
強力な抗菌・抗酸化・ホルモン調整作用を持ち、心身の浄化や女性のライフサイクルを支える力があります。
ただし薬との相互作用や成分の強さを踏まえ、「香りやスマッジングとしての利用」「少量をときどき飲む」 というバランスが理想的。
アーユルヴェーダ的に自分のドーシャに合わせた飲み方を工夫しながら、神聖なハーブの力を暮らしに取り入れていきましょう。