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“土の気”が乱れる春の土用/

そして巨大地震と人間の暮らし


“土の気”が乱れる春の土用。そして巨大地震と人間の暮らし

日本女性ヘルスケア協会長鈴木まり

 昨日4月17日から2026年の「春の土用」の期間に突入した。

 この期間は、「土の気」が不安定になり乱れやすい為、引っ越しや建物の改装、土を掘り起こすような作業はしてはいけないと古代から言い伝えられる。

 私たち人間をはじめとする生き物は、土に足をつけ生きる故、土の気の影響も大きく受ける。だからこそ、良くも悪くも土の気が乱れるのとコネクトして体調にも影響を及ぼす。

 この時期には、消化に良い「白いもの」や、このコラムを書いている4月18日の戌の日には、「イ」のつくもの(イカやイサキなど)を食べると、身体を整えられるといわれる。  

 ちなみに、土用の丑の日には、ウシの“ウ”をとって、「うなぎを食べよう」と、江戸時代に平賀源内が消費者心理を巧みに操りブームメントを起こしたのが今に伝わる。

「土用」というのは季節ごとの養生法を教えてくれる。そして、無理はせずしっかり養生し次の季節に備える「整える期間」とする。今年の春の土用は、5月4日まで続くとされる。

 昨日から土の気が乱れる期間に入ったわけだが、早速今日(4月18日)長野で震度5を超える大地震があった。

 長野周辺は、糸魚川から静岡まで連なる巨大な活断層の巣でもある。これを、「糸魚川―静岡構造線断層」と呼ぶのだが、今日の地震は、この断層付近で発生したようだ。

 つまり、この構造線断層上にある、山梨や静岡も触発される可能性があるので注意が必要だ。

 日本は実に多くの断層が織り成す島であり、断層の巣そのものだともいえる。 故に美しい半島が生まれ、更にはその地形から森が豊かになり、森の養分が海に流れ出て海の幸にも恵まれる。
 日本には1000以上の断層が存在する。これらの断層活動の周期と数を計算すると、大地震が来る確率は、5年に1度は必ず来ることになる。

 ちなみに、ここ数年騒がれる「南海トラフ巨大地震」は研究においても2030年前後に来ることは間違いないと言われている。

 日本人にHSPなどの繊細さんや心配性、ネガティブ思考、あるいは自己肯定感が低いなどと言われるのが多いのも、災害が多い土地だからだ。能天気に生きていたら、いざというときに逃げ遅れてしまう。
 常に不安の準備運動をすることで、生存を守るように不安のパンプアップをしてきた民族なのだ。
 不安症や自己肯定感が低いなどがまるで良くないことのように現在言われがちだが、決してそんなことはない。 生きにくさは感じつつ(自死率が高いのは大きな課題だが)、いざという時に本領を発揮して生き残れるのはこうした人たちなのだ。

 なぜ地震についてこんなに熱く語るのかと言えば、私自身も活断層の巣で育ち、先祖代々それらを鎮め力に変えて五穀や健康を祈願する役割を担ってきたという風変わりなアイデンティティのせいかもしれない。

 幼少期には毎晩父と湯船につかり、「一二三(ひふみ)歌」を歌わされた。
 幼い私には“ただの数え歌をうたっている”だけだったが、今振り返ると、一二三歌は、一二三祝詞(ひふみのりと)といい、龍神を呼ぶ祝詞だと知る。 それを湯(=龍神)につかりながら歌っていたと知ると妙な気持になる。

 そして父から教えてもらったことで印象に残るのは、天体についてと地層である。
 特に宮城県北は活断層と縄文遺跡の町。 更に、母の祖母の本家は今でも縄文遺跡と古墳群エリアを代々守護する一族でもあるので、地層の観察エリアは十分すぎるほど担保されていた。

 なので、地層の観察は日常の一部であり、地学には自信があったため、大学受験においては全国で4%しかいないと言われる、地学選択者だった。何しろ高校生の頃には化学薬品から石の結晶も作ったほどのオタクだった。

 数年前から国内だけでなく海外でも巨大地震が立て続くようになったことで、更なる知識欲に火が付き、今年2月の1カ月間にわたり、東北大学災害科学国際研究所教授遠田晋次先生の「地震と断層の科学~日本列島の地震活動を知る」を受講した。
 今お伝えしたことは私の勝手な見解ではなく、科学や歴史の記録の名のもとに算出されたデータなのだ。

 アーユルヴェーダの勉強をするためスリランカに留学しようと入学と引っ越しの準備をし、さて行くぞという2日前にスマトラ沖地震で借りた家が流され(行く前だったので命拾いした)、3.11(正しくは3.09)の際には1回目の本震である3月9日の前日まで宮城に帰省していたという、行く先々で偶然巨大地震が起きる過去に加え、エジプトからトルコに渡った2023年2月6日にはいよいよトルコ・シリア巨大地震に遭遇するという揺れる土地に追いかけられるような奇妙な経験を基に、本講義の卒論を書いたので皆さんにも共有しておきたいと思う。

 特に最近では、私も大好きな小笠原諸島の南鳥島が核廃棄所の候補に挙がったことでざわつかせている原発問題にも触れ、日本と海外の比較も行った。

 ところどころ専門用語も出てくるので読みにくい箇所があると思うが、他人事ではない問題なので、ぜひ皆さんひとりひとりの課題としても考えるきっかけになればと願う。
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「トルコ・シリア地震と日本巨大地震の破壊伝播過程比較と原子力発電リスク」
鈴木まり

■はじめに
 これまで様々な国を訪れてきたが、最もインパクトがあったのは、エジプトからトルコに渡った2023年だった。
 イスタンブールは吹雪に見舞われエジプトからのフライトは数時間のディレイ。しかしなんとか飛んでくれ、イスタンブールに着く頃には夜になっていた。あたり一面は一段と積もった雪、ぼやっと浮かぶ満月が印象的だった。
 イスタンブールから更にシリアに近づく形で国内線を乗り継ぎ、カッパドキアに到着。チェックインする頃には夜も深まっていたのでこの日はすぐに寝ることにした。
 早朝4時過ぎ。部屋の中がカタカタとやかましい。けたたましくスマホが何度も鳴り、出ると「生きていてよかった」と安堵の声。テレビをつけると、とんでもないことが起きていた。
 この日は洞窟ホテルの地下に滞在していたので建物自体の大きな揺れは感じなかったが耐震ではないという恐怖があった。
 日本では報道されていなかったが、トルコとシリア国境付近は遺跡群があり欧米人に人気のエリアだ。パンケーキクラッシュをした建物からの手こずる救済活動の中、ブロンドヘアの観光客も随分映し出されていた。
 またその数時間後の2回目の巨大地震時には地下のレストランで昼食をとっていたが、地下でもグラスが倒れるほどの相当な揺れを感じた。外には落石も多数ある。
 昼の観光時間に1回目の揺れが来ていたら、観光客も随分被害に遭っていただろうと容易に想像できた。
 初めて海外で経験した巨大地震はとてもインパクトのあるものだった。
 この様な経験も踏まえ、本レポートでは「破壊伝播過程」についてとりあげたい。
 講座にもあったように、2023年2月6日に発生したトルコ・シリア地震の様な巨大地震では、断層の単独破壊ではなく複数断層の連鎖的破壊が重要なテーマとなっている。
 この地震の破壊伝播過程を概観し、日本の巨大地震との比較を行うとともに、原子力発電所の安全性との関係について考察する。

■トルコ・シリア地震の破壊伝播過程
 2023年トルコ・シリア地震では、Mw7.8の巨大地震の約9時間後にMw7.5の大地震が発生した。最初の地震は東アナトリア断層系に沿って数百km規模の長距離破壊を引き起こし、複数の断層セグメントを連続的に破壊したと推定されている。
 破壊は秒速数kmの速度で進行し、一部ではS波速度を超える超せん断破壊の可能性も指摘された。さらに第1地震による応力変化が周辺断層を不安定化させ、第2地震を誘発したと考えられる。
 このように本地震は、断層ネットワーク全体の応力再配分により巨大地震が連鎖する典型例である。

日本の巨大地震との比較
 日本でも同様の連鎖的破壊は歴史的に繰り返されている。代表例が南海トラフ巨大地震である。   
 1707年宝永地震では広範囲のプレート境界がほぼ同時に破壊し、1854年には東海地震の後に南海地震が時間差で発生した。
 これは巨大地震が別の巨大地震を誘発する応力転移現象の典型例である。また2016年熊本地震では複数の活断層帯が連動し、破壊が段階的に拡大した。
 ただし、トルコと日本では地震発生環境に違いがある。トルコ地震は主に横ずれ断層の長距離破壊であったのに対し、日本ではプレート沈み込み帯の巨大地震が多く指摘される。
 沈み込み帯では破壊面積が非常に広く、連鎖規模も大きくなりやすい。また日本列島は複数プレート境界が集中するため、断層連鎖の様式はより複雑である。この点で、日本の巨大地震はトルコと同等あるいはそれ以上の連鎖潜在性を持つと考えられる。

原子力発電所との関係
 巨大地震の連鎖性は原子力発電所の安全性に重大な意味を持つ。トルコ・シリア地震の震源域周辺には稼働中の原子力発電所は存在しなかったため、原子力災害は発生しなかった。しかしトルコでは地中海沿岸に原子力発電所が建設中であり、将来的には広域地震の影響評価が不可欠となる。
 一方、日本では多くの原子力発電所が地震多発地域に立地している。福島第一原発事故は巨大地震と津波の複合災害であったが、背景には広域的な地殻変動とインフラ機能喪失があった。
 断層が連鎖的に破壊する可能性を考慮すると、原子力施設の安全評価は単一断層の想定規模だけでなく、複数断層連動や長期的なインフラ障害を含めて検討する必要がある。

結論
 トルコ・シリア地震は、巨大地震が断層ネットワーク全体の動的不安定化として発生することを示した。日本の巨大地震も同様に連鎖的破壊の性質を持ち、より複雑な地質条件のもとで発生する。
 したがって、地震リスク評価および原子力発電の安全設計においては、単一断層モデルではなく広域連鎖を前提とした包括的視点が不可欠である。
 破壊伝播過程の理解は、防災とエネルギー政策の双方において重要な基盤である。

参考文献
・USGS, 2023 Turkey Earthquake Scientific Reports
・気象庁「南海トラフ地震に関する評価」
・Kanamori, H. (2004) The Physics of Earthquakes
・Scholz, C. H. (2019) The Mechanics of Earthquakes andFaulting