「お金・恋愛・人間関係の矛盾」 文・日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
「貨幣価値」とは何によって生み出されているのでしょうか。
そして、「恋愛」とは何によって、この世の中で価値づけられているのでしょうか。
これらの共通点は、「人間」です。
ラーメン屋に入った時に、私たちは、ラーメンにお金を払っている気になっています。ですが、本当は違います。
店舗となる建屋を作る職人、どんぶりメーカー、小麦農家、製麺所、豚骨スープで使う豚を育てる養豚場。それら全てが揃わなければ、「豚骨ラーメン」という一杯は成立しません。
そして何より、それらを「ラーメン」という一つの結晶に変えるラーメン職人がいなければ、我々はそれを口にすることができません。
つまり我々は、「ラーメン」という物体にお金を払っているのではありません。
その背後に存在する、無数の人間の労働、知識、時間、人生に対してお金を払っているのです。
貨幣とは、人間への信用によって成立しています。
これは恋愛も同じです。
恋愛の根底にあるのは、「繁殖」です。
もちろん現代人は、「私は子供が欲しいから恋愛しているわけではない」と言うでしょう。しかし、人間の本能は、本人が思っている以上に正直です。
なぜ男は女性のくびれや脚線美に惹かれるのでしょうか。
なぜ女性は男性の腕の血管、肩幅、匂い、声に敏感になるのでしょうか。
それは、我々の無意識が、「健康」「生存能力」「免疫力」「繁殖能力」を読み取ろうとしているからです。
実際、恋愛相談を受けていると、非常に興味深いことが起こります。
「顔もタイプ。性格も優しい。条件も悪くない。でも、なぜか好きになれない」
逆に、
「ダメ男だと分かっているのに離れられない」
人は、頭で恋愛しているようで、実際には“本能”で恋愛しています。
例えば、女性が「安心できる人がいい」と言いながら、刺激的な男性に惹かれてしまうケースがあります。
これは、「安定」と「繁殖本能」が衝突している状態でもあります。
危険な男ほど、生命力が強く見えます。
堂々としている。
決断力がある。
他者を支配する力がある。
すると本能は、「強い遺伝子」と誤認しやすくなります。
逆に、優しすぎる男性が恋愛で苦戦することもあります。
もちろん優しさは大切です。しかし、“ただ都合よく相手を優先するだけ”になると、生物的には「弱さ」と判定される場合があります。
面白いのは、これはマーケットでも全く同じ構造をしているということです。
例えば、高級ブランドです。
なぜ人は、普通のTシャツに数万円払うのでしょうか。
布の価値だけで考えれば、ユニクロでも十分です。
ですが人間は、「その商品を持つことで、自分の価値が上がる」と感じると、高額でも欲しくなります。
つまり、人は商品を買っているのではありません。
“感情”を買っているのです。
SNSも同じです。
なぜ、人はインフルエンサーに群がるのでしょうか。
なぜ、「みんながいいと言っているもの」を欲しくなるのでしょうか。
人間には、「集団に所属したい」という本能があります。
昔、群れから外れることは死を意味しました。だから現代人も、「流行」「空気」「世論」に引っ張られます。
株価もそうです。
本来、企業価値で判断されるはずなのに、人間の恐怖と欲望が暴走すると、一気に暴落したり、実態以上に高騰したりします。
つまりマーケットとは、「人間の感情の集合体」なのです。
恋愛市場も同じです。
「なかなか良い出会いがない」
こう悩む人は多いです。
しかし実際には、“出会いがない”のではありません。
「理想と本能が噛み合っていない」ことが多いのです。
例えば、
「誠実な人がいい」と言いながら、実際には“刺激”に反応してしまう。
「優しい人がいい」と言いながら、“追いかけられる恋愛”ではなく、“追いかける恋愛”ばかり選んでしまう。
逆に男性側も、
「癒される女性がいい」と言いながら、見た目の刺激や若さばかりを追いかけ、自分に本当に合う相手を見落としていることがあります。
つまり、人は「自分が欲しいと思っているもの」と、「本能が求めているもの」が一致していない場合があるのです。
だから恋愛は難しいのです。
さらに厄介なのは、人間は“比較”する生き物だという点です。
SNSで他人の恋愛や結婚を見る。
豪華なデートを見る。
美男美女のカップルを見る。
すると脳は、「自分は満たされていない」と錯覚します。
本来、幸せとは比較ではなく、自分自身の感覚で決まるはずです。ですが人間は、他者との比較によって価値を決めてしまいます。
経済も恋愛も、結局は「人間の承認欲求」で動いています。
だから、仕事、恋愛、経済。
これらを上手く渡り歩くには、「人間がどういう生き物か」を知る必要があります。
人は合理的ではありません。
感情で動き、後から理屈をつけます。
恐怖でお金を使い、孤独で恋愛をし、承認欲求でブランドを身につけます。
ですが、それを理解すると、人間関係も、ビジネスも、恋愛も、見え方が変わってきます。
「あの人はなぜ怒ったのか」
「あの人はなぜ嘘をつくのか」
「あの人はなぜ依存するのか」
そこには必ず、“生き物としての理由”があります。
人間観察とは、他人を操るためだけのものではありません。
自分自身の弱さや欲望を知り、飲み込まれないための技術でもあります。
6月より、まぐまぐにて
『人間の本能を暴く・悪魔の人間観察』
の連載をスタートします。
仕事、恋愛、組織、人間関係。
綺麗事では終わらない、「人間」という生き物の裏側を、悪魔の視点から解剖していきます。
こちらも併せて読んで頂けると嬉しいです。
さて、悪魔を降臨させましょうか・・・ふふふふふ。