「私たちは、小さく生まれ小さく死ぬ〜死にソフトランディング〜part2」
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
今年は随分各業界の重鎮たちが虹を渡った年でもありました。
生命は永遠ではなく、このようにして太古の昔から私たち地球上の生物は世代交代をしてきました。
そう頭で理解していても、長く一緒に過ごした分、思い出や思い入れが多く寂しく悲しくなるものです。
この人間の「弔う心」というのも生物としての進化のひとつなのかもしれません。
これまで私は、40代で肺がん闘病を経て他界した父、介護職時代の患者さんたちの看取りなど、若い頃から「死」というものが間近に感じられる環境に身をおいていました。
皆さんの「死」と直面する度に感じることのひとつが、生き物というのは、「小さく生まれ、小さく死んでいく」ということです。
私たち生き物は、事故死や突然死でない限り、少しずつ小さく小さくなって死へ歩んでいくのです。
「歳をとると背が縮む」というのは周知の通りですが、老年期以降ご病気や老衰の際には2周りも3周りも小さくなっていくものなのです。
私たちはその変化を必ず受け入れていかなければなりません。
今月も、先月からのシリーズ、「死にソフトランディング」をテーマにお届け致します。
最近我が家の愛犬ポキオ君(イタリアングレーハウンド18歳)は後ろ脚の腰周りの筋肉が少しずつ細くなってきています。
四つ足で立っていても、じっとしていると踏ん張りがきかずにヨレヨレとふらついたりもします。
白内障わ他の病気は幸いなく、見た目年齢は15歳くらいなのですが、抱き上げた時のずっしり感や、歩いている姿の頼りなさが露出してきています。
18歳といえば犬の平均寿命は過ぎた頃。
少しずつ、カラダが小さくなり、明らかにIBMの数値の低下が認められます。
食事も、若い頃はなんでも好んで食べたのに、最近は選り好みが激しく、手作りのものしか食べなくなり、飼い主としてはとても手がかかる状況です。
ここで、ふと感じたのですが、私自身も、若い頃はコンビニのお弁当やおにぎりなど、美味しいと思いながら食べていたのにも関わらず、最近はどうも防腐剤の匂いやビニールの匂い、加工食品の添加物の刺激が気になって、美味しいどころか、「不味い」と感じるようになってきました。
愛犬を観察しながら自分と照らし合わせた時の共通点にハッとして、これには何か理由があるに違いないと思いました。
「カラダに悪そうなものを避ける」これは大事な防衛本能です。
若い頃は免疫力も体力も代謝力ありますので、多少悪いもの食べてもその後に響かないのですが、歳を重ねると、内臓も弱り、解毒や消化の力が弱りますから、消化に悪いものや代謝しきれないものは、なるべく避けたくなるのではないでしょうか。
では、その「内臓が弱る」とはいったいどういうことなのでしょうか。
実は、単に機能が落ちるのではなく、年齢を重ねる毎に臓器自体が小さく小さくなっていくのです。
「生き物は小さく死んでいく」とお話ししましたが、カラダの外側の筋肉だけが落ちる、小さくなるだけでなく、内臓も小さくなっていっているのです。
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【年齢を追うごとの重さの変化】※20~30歳を100%とする。
・脳:30歳から緩やかに下降し、90代以降は80%まで下降。
・心臓:30歳から60歳にかけて120%近くまで増加し、その後69歳でまた100%まで下り、その後は大きな変化を見せないが、99歳から100歳以上にかけてやや増加。
・肺: 30歳から89歳までやや増加しつつも平均的に100%を維持し、89歳以降は90%ほどに下降。
・脾臓: 30歳から40歳まで軽度に下降し、50歳までに80%まで下降。69歳以降は急激に下降を進め100歳の頃には50%以下に。
・肝臓:30歳から40歳までに110%まで上昇し、その後69歳までに急激に下降し78%ほどに。その後は100歳までには50%にまで急激に下降を続ける。
・腎臓:心臓同様に、30歳から60歳にかけて120%近くまで増加し、その後100歳までに急激に下降し、60%まで落ちる。
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上記を見て頂くと分かる通り、特に、生命の源である腎臓、消化器官として重要な役割をする肝臓、脾臓の重さの下降率を見ると、老年期に職が細くなる、消化に良いものを好むようになるのも納得できます。
私たちは小さく生まれ、小さく死んでいくものですが、将来の自分、または身近な大切な方の看取りの際には、その方との思い出、どのような人生だったのか、どのようなことを学ばせてもらったのか、どのような存在だったのかを、ひとつひとつ心に思い出を膨らませ、心は大きく大きく満たしながらお見送りに備える、心を寄せる、自身の際には心を解放させていくことが大切なのではないでしょうか。