「不安な気持ち、漢方で穏やかに」 漢方専門医五野由佳理
最近では、悩み事を24時間営業のAIに簡単に相談し、意見を求める人も少なくありません。
人に相談出来ず、抱え込んでしまっている人もいるでしょう。
外来をやっていますと、色々と家族の話や自分の心配事の話をされ、最後に「先生にお話しを聞いていただき、少し楽になりました」とおっしゃっていただく方もいます。
特に薬を変更しなくても、話を聞くというだけでも心が軽くなっていただけるようです。
しかし、中には漠然とした不安感、うつうつ感、意欲低下などがみられる場合は不安障害、抑うつ状態の症状かもしれません。
心療内科や精神科へ相談した方が良いこともありますが、いきなり受診に抵抗がある場合には、ちょっと漢方を取り入れてみるのも一つです。
漢方には「心身一如」(しんしんいちにょ)という考え方があります。
心と身体は一体であり、心(精神)が不調になると身体に症状が現れるし、身体の不調があると心のバランスが崩れると切っても切り離せない関係であるという意味です。
ストレスがあると胃が痛くなったり、慢性疾患で長く患っていると気分がうつうつとしてきたりするものです。
お腹の症状で内科に受診しても検査は異常なく、気持ちを楽にする漢方を飲んでいただいたら、症状は消失したという例もあります。
●漢方の処方
①うつうつもやもや
うつうつとした気分に使う処方の一つに香蘇散(こうそさん)があります。
女性であれば、月経前の気分の落ち込み、マタニティーブルーにも使います。
気分の落ち込みや食欲低下のみられた産後うつの人に使用したら効果がみられ、無事に授乳できた方がいました。
処方名にも入っていますが「蘇葉」(そよう)というシソ(食用でみる青じそではなく赤ジソです)が含まれていますので、煎じ薬を作っているときには良い香りがします(アロマ効果もあります)。
シソには、不安を和らげ、鎮静させる作用があります。
②予期不安
他には、先々のことが心配になる予期不安があるような方には、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)があります。
特徴的なのが、喉に何か詰まっているような異物感があったり、咳払いが多かったり、胸のつかえ感、呼吸が浅い感じがある場合に適応があります。「厚朴」(こうぼく)というホウノキの樹皮が入っていて、気の巡りを良くして、筋緊張を緩める作用があります。
③不安と動悸
また、不安感と共に動悸が起こるような場合には、大型哺乳類動物の化石化した骨の「竜骨」(りゅうこつ)や、カキの貝殻の「牡蛎」(ぼれい)といったものが入り精神安定作用をもつ柴胡加竜骨牡蛎湯や桂枝加竜骨牡蛎湯という処方を使います。
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気分が内向きになると、体も猫背になったり、力が入ってしまったり、呼吸も浅くなってきます。
漢方では、空気や飲食物から「気」を体に取り込むという考え方がありますので、薬だけでなく、ゆっくりとした呼吸を意識したり、出来れば10分からでも腕を振りながら軽い散歩を始めてみるのも一つです。
身体を動かすことで、心もほぐれてくるかもしれません。