"隠れた"「土性」〜アレルギーと性格の関係
日本女性ヘルスケア協会長鈴木まり
私たち人間は、肌はモチモチとふっくら丸みを帯び、まるで汚れのない真っ白で柔らかな結晶としてこの世に誕生する。
湧水の如く潤った唾液。
「空腹だ」「愛着をくれ」と、何か違和感得る度に大きな声で泣き知らせ、溢れ出る大量の涙。
羊水の中で十月十日を過ごした乳児はいかにも「水」であり、外界の空気にふれ、尚も乾きを知らない肌や髪の毛の組織の濃密さを観ると、水を存分に含み膨みタプタプと音を立てる「土」の様である。
アーユルヴェーダでは、乳幼児期(0~12歳)をKAPHA(カファ)=「土の年齢」(土+水のエレメントの対局的組合せ)と現わしている。
これから人生の基盤を構築する大切な時期であり、心理学においても、「4歳までに人格の基盤がつくられる」とされている。
これからどんな芽を出し、枝葉を伸ばしていくか、心身ともに大事な土壌を築く「構造エネルギー」が最も盛んになる年齢ということだ。
つまり、この土の年齢が、心身健康の基盤となり、アイデンティティの根となる。
構造エネルギーの時期に起きた出来事、経験は、生涯付き合っていかなければならない自分の性質となる。
「三つ子の魂、百まで」とはまさに。である。
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「悪魔の人間観察」(飛鳥新社)を早速手に取ってくださった方から、
「見た目に土性がないのに、コンフォートゾーンから出ようとしないや、人付き合いをせずずっと一人でいるような土っぽいヒトってどういうことなのでしょう」
と時折メッセージを頂くことがあります。
「悪魔の人間観察」P84、P128で、「土の特性はアレルギー」と軽く触れましたが、この辺りは今回割愛してしまったので、こちらで追記しておきます。
まず、見た目で明らかに、"火のヒト"や"風のヒト"と診断できるのに、「性格がどうも土っぽい」という方の多くが、小児喘息や幼少期からの重いアレルギー(食物アレルギーやダニアレルギー、動物アレルギーなど)、アトピー性皮膚炎を経験しています。
あらゆるアレルギーは、土の特性です。
土のヒトといえば、保守的思考。
フッカルに次々新しいことという風性でもなく、情熱的にみんなを引っ張る火性でもなく、じっと今ある環境を掘り下げるタイプです。
英国の疫学者 David P.Strachan(1989年)の研究によると、特に第一子はアレルギーを発症しやすいといいます。
第一子は親にとっても初めての子であり、時として初孫だったりもします。
それゆえ過剰に大事にされ、衛生環境に神経質になり過ぎて、子どもが雑菌に触れる機会が奪われてしまうことが少なくありません。
それを証拠に、牛糞や家畜と生活を共にする遊牧民のモンゴル人にはアレルギーがほぼ存在しないのです。
あるいは、幼児~児童期(1~12歳)に、親の仕事の都合で引っ越し転校を何度も強いられ、安定的な仲間の構築が上手くできなかったことへの不安や、不安定な人間関係へのストレスからアレルギーを発症することもあります。
これは心理的作用が大きく影響するケースです。
さてここで、構造エネルギーの年齢に最も強く出ていたものは、人生の基礎となる。を思い出してください。
肉体的に、火の年齢でいかにも火のヒトらしく見えても、いかにも軽やかにフットワークがよく風のヒトらしく見えても、構造エネルギ―である土の年齢でインパクトをもって経験したことというのは、なかなか人生から引き離せないものです。
もし、その様な方を見かけた場合には「もしかして、幼少期に喘息や重いアレルギーを経験していますか?」と伺ってみると、驚かれることでしょう。
一見隠れているようですが、それは確実に〝在った”ものなのです。