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体重変動調査報告~3.11とパンデミック時の比較 Vol.7

Vol.7 体重変動調査報告~3.11と新型コロナパンデミック時の比較

                          日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり

 2020年のコロナパンデミック中にはクライアントの皆様から沢山のご相談が寄せられ、生活の変化だけでなく、カラダ及び心にも大きな波を及ぼしました。 

 その中でも、今回は皆さんのカラダの変化に注目をして報告させて頂きたいと思います。   アジアにおいて、2020年1月~3月上旬というのは特に激動の時期でした。 日本では“得体のしれない新種のウィルス“がどうやら隣国で蔓延しているらしいということで、新型インフルエンザやSARSを思い起こした方も多かったのではないでしょうか。しかし、今回の新型コロナウィルスは、”発症者から感染する“SARSとは違い、無発症でも感染力を発揮する上に、個体をなかなか死なせない弱毒のウィルスで蔓延していくという、ウィルスの驚異的な進化を垣間見た瞬間でもありました。

 SARSが中国で流行していたころは、中国ではまだ個人旅行者を中国政府が許可しておらず、行動制限のある団体行動のみの旅行者だったということもあり、日本において蔓延するということはありませんでした。   日本でコロナ患者がぽつぽつと出始めた頃には、様々な情報が交差し、どの情報が正しいのか、ウィルスそのものへの不安だけでなく、正しい情報、フェイク情報、あおり情報が入り乱れ、クライアントの皆様も大きな不安を抱えていたピークの時期でもありました。

 弊社では、この頃から、3.11の際の皆さんのカラダの変化、ココロの変化と比較調査を開始いたしました。 

 3.11の際には、都内では流通がスムーズにいかなくなり、陳列される食材も、菓子パンやスナック類、インスタント食品などが充実しており、地方から流通してくる野菜などの物資の不足が目立ちました。 更に、連日情報番組では、地震速報と、東日本の壊滅的なショック映像を連日目にしていたので、脳が疲弊しきった状態が続き、「栄養管理」というところまで頭が回らなかった方も多かったように感じます。

 実際、脳が疲れた状態のクライアントに、健康的なフルーツと、ピザやカップケーキなどのジャンクフードの両者を出した際に、脳が疲労した状態では、健康的なフルーツではなく、ほとんどの場合、ジャンクフードを口にしたという心理実験もあります。

 疲れていると味の濃いものを食べたくなるという理由だけでなく、脳が疲れた状態では、普段「我慢しなければいけないもの」に対してのタガが外れてしまうのです。 その上に、3.11では多くの犠牲者がでましたので、「命の危機」が精神的に迫り、「生きなければいけない」という精神的スイッチが入り、食事量、食事回数が増えるという現象がみられ、弊社クライアントの7割の方が平均3キロ増量という結果を見せました。 

 さて、では2020年2月以降のコロナパンデミックにおけるアンケート調査はどうだったかは以下の通りです。

   【アンケート対象者数150名(男女比2:8)】 

 2020年2月の段階では約8割の方が平均1.5キロ増量、その後、5月末の段階では3割の方が解消し、むしろ、「痩せた」と回答したが50%に至りました。

   ■「痩せた」が半数に至った背景とアンケート 

・メディアでは早い段階から「コロナ鬱」「コロナ太り」と言われ、早い段階での危機感と、収束の目処がつかないために精神的長期化に備えた。 

  ・飲み会などの機会が減り、夜間遅くまでの飲み食いが減った。 

  ・特効薬がなく自己免疫力に頼るしかない中、代謝を上げるリンパケアや運動など自己メンテナンスに特に注意を払う様になった。その背景には、ジムやエステサロンの休業も危機感の煽りとなりセルフケアをするようになった。 

  ・物流が機能していたこと、リモートワークに切替わったことで対人ストレスレヴェルが下がり、自分の時間を確保できる環境が整ったこと、飲食店へ出かけにくい環境から自炊をせざるを得なくなったという環境、免疫力への不安から健康意識の高まり、栄養バランスのとれた食事を意識する方が増えた。 

  ・運動不足解消と免疫ケアの観点から、エクササイズをする方も増え、DVDなどの室内コンテンツの売り上げが通常の2倍となった。更に、各メディアでもエクササイズ動画配信やニュース記事がこぞって配信された。 ※アンケートで「痩せた」と回答した人について、室内コンテンツ(巣ごもりコンテンツ)を新たに生活に取り入れたかという質問に対し、100%の方がYESと答えている。

   ・リモートワークになり、通勤などで外に出歩く機会も減った状況がかえって「運動不足の自覚」と繋がった。 

  ・リモートワークになり、7割の人が7時間以上の睡眠確保となり、ストレス指数が減り過食とならなかった上に、しっかりとした睡眠時間を確保することにより、成長ホルモンなどの代謝ホルモン分泌へつながったことも考えられる。 ※アンケートでは、7時間以上寝れていると答えた方の7割が、通常7時間も睡眠が取れていないと答えている

   3.11では2011年3月から6月まで平均3キロ体重の増量が見られたが、今回は2月に一度数字が上がったものの、3月以降下降となった。 

     この様なことから、「いかに日ごろからの意識付け」がダイエットや健康的な食事改善に大きく関わってくるかということがよくわかる結果となりました。  生活の中での少しの工夫と、脳を疲弊させない環境つくり、睡眠の確保というだけでも十分体質改善、生活の改善か可能ということが分かります。  是非この結果を踏まえて、クライアントやご家族と改めて健康管理や改善に向けてのお話をされてはいかがでしょうか。