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「漢方で梅雨の不調を乗り切ろう!」~Vol.9

 「漢方で梅雨の不調を乗り切ろう!」 

                                                                                                    漢方専門医 五野由佳理   

 そろそろ紫陽花がキレイに咲きはじめてきました。咲く花々で季節を感じられるのが日本の良さです。ただ、このジメジメとする梅雨はあまり1年の中でも好まれない時期ですね。植物や動物、そして人間にとっても生きていく上で必要な雨なのですが、雨が続くとどうしても、「洗濯物が乾かない」「服が濡れる」「髪の毛が広がる」「外で遊べない」などつい不平を口にしてしまいます。何となく気分もあがりません。実際に、湿気があると人間の体の中のバランスが崩れて様々な不調がでてくることがあります。今回は、梅雨の時期に陥りやすい症状と漢方のお話しをしてみようと思います。   

●漢方でいう「水」とは 

 漢方では、血液以外の体の全ての水分(体液、リンパ液、分泌液など)を『水』(すい)と呼びます。健康な体では、汗や尿などで余分な水分を排出できるのですが、体のバランスが崩れると、余分な水分が体のあちらこちらに溜まって色々な症状を引き起こします。この状態を『水毒』(すいどく)と言います。梅雨の湿気は、特に『水毒』を引き起こしやすい状況にしてしまうのです。 

『水毒』の人はむくみ体質が多いので、舌を見ると辺縁にしっかりと歯型がついていることがあります。これは見分ける特徴の1つです。   

●「水毒」の代表的な症状と対処漢方 

① 『水』が首から上に溜まってくると、頭痛やめまいが出やすくなります。 

片頭痛もちの人は、よく雨が降る前から頭が痛くなったり、めまいを起こしやすい人は、よく天気が悪くなると体が重くなって、めまいが出やすくなると言われます。 

そんな時に使われる漢方薬に、五苓散(ごれいさん)というものがあります。 

五苓散は単なる利尿剤ではなく、体の中の水分バランスを調整する薬です。ですから、飲んでもトイレが近くなる訳ではないので安心して使えます。   

② また、水分が溜まっていると体が冷えやすくなります。 

イメージとして、水風船を触るとチャポチャポして冷たいですね。 

水分の溜まりをなくして温める漢方薬に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があります。よく月経痛などに使われる薬の1つですが、五苓散より冷えがあるような頭痛、めまいの人に使われます。   

③ 『水』が皮膚や関節に溜まってくると、むくみやじんま疹や関節痛を引き起こします。 

雨のジメジメした日に皮膚がかゆくなったり、関節痛が出やすくなることはありませんか。 

特に水太り体型で、皮膚がしっとりと湿潤している関節痛には、防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)が使われます。   

④ 梅雨時期になると、何となく食欲が落ちてくる人がいます。これは気分があがらないせいだけではなく、湿気が影響してくる症状の1つなのです。この時期、『水』が胃腸に溜まりやすくなり、胃腸の動きが悪くなると、胃もたれや食欲低下などを引き起こしてきます。 

そこで、少しでも胃腸の動きを良くして、水の溜まりを改善する漢方薬に、六君子湯(りっくんしとう)というものがあります。これは、胃の蠕動運動を上げて、食欲増進ホルモンの分泌を促す作用が確かめられている薬です。   

 他にも、梅雨時期には、喘息発作が出やすかったり、神経痛が出やすかったりします。 

水分を溜め込まないようにするためは、決して水分摂取を制限することではありません。   

普段より運動を心掛け汗をかき、体を冷やさないことです。冷たい飲食物を取り過ぎると胃腸の動きが悪くなるので、ジメジメしたこの時期に冷えたビールも飲みたい気分ですが、ほどほどに。 

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