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あなたの花粉症はどのタイプ?処方する漢方の違いと養生法~Vol.18

あなたの花粉症はどのタイプ?処方する漢方の違いと養生法

                                 漢方専門医 五野由佳理 

 

 やっと暖かな春らしい日が続くようになってきましたが、花粉症の方にとっては、いよいよ季節到来です。そして、もれなく私もその一人です。

 コロナ禍では、マスク着用のため、花粉症の症状が軽くなったと言われる方や、在宅ワークで外出する機会が少なくなったので例年より軽いという方もいらっしゃるでしょう。

 ただ、完全に花粉をシャットアウトすることは難しく、既に1月下旬頃から徐々に花粉症の方が出始めてきています。そんな花粉症の方が、COVID-19感染症かと心配して受診されるケースも多くあります。

 一般的に花粉症で発熱はみられませんが、COVID-19感染症のオミクロン株でも発熱がないパターンもありますので、確かに区別しづらいことがあります。 コロナ禍のため、花粉症の方は人混みでくしゃみや鼻をかむことに抵抗を感じるでしょう。

 そこで今回は、花粉症の漢方薬や漢方的な養生をお話ししたいと思います。 

 

 鼻アレルギーの全国疫学調査(2019年)では、42.5%と約4割の人が花粉症で悩まされている結果がでています。その中でもスギ花粉は原因の7割を占め、年齢層でみると10代は約10年前と比べ倍以上に増加しています。

 これは、大気汚染、食生活の欧米化やストレスなどが増悪因子の1つとも言われています。

 花粉症の一般的治療には、アレルギー反応を抑える飲み薬、点鼻薬、点眼薬の他に、鼻粘膜のレーザー手術、最近では減感作療法(舌下・皮下)がありますが、治療に難渋することもあります。 そんな時、漢方を取り入れることで楽になることがあります。 

 

 花粉症のタイプを漢方的に分けて考えてみましょう。

①鼻水が多く、鼻閉もあり、目の痒みも強い場合、鼻の粘膜は赤く腫れてみられることがあります。 これはアレルギー反応が強く、鼻や目に熱をもった状態で「熱証」と捉えます。この場合、熱を冷まして浮腫みをとる「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」を使います。

②対照的に、鼻閉や目の痒みはそれほどひどくないけれど、サラサラした鼻水とくしゃみが出て、もともと冷えがあって、鼻の粘膜は蒼白く浮腫んでみられることがあります。これを「寒証」と捉え、温める「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」を使います。

③上記の①と②、この2つの中間タイプに使うのが、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」で、一番よく使われる漢方薬です。  また、花粉症の体質改善として使う薬もあります。

 この場合、花粉の時期だけとは限らず、続けて服用してもらいます。 漢方では、鼻水は体の余分な水分が上がってきた状態という考えがあります。

 そこで、体の水分調節には、胃腸と腎の働きを上げる漢方薬を使います。 

 漢方的な養生としては、まず食物は、粘膜を刺激するような辛いもの、胃腸の働きを落とすような甘いものや冷たいものは取りすぎないということです。そして、体を冷やさず、入浴や運動で適度に汗をかいて余分な水分を出すように心掛けることです。 

 漢方的には、花粉症のこの時期に、バレンタインデーやホワイトデーがあるのは悩ましいのです。まあ、そうは言ってもついついつ口にしてしまいますが、本当に症状がひどい方はチョコを取るか花粉症を取るか!・・・・・自問自答してみて下さい微笑。